中小企業向けITコンサルティング専門会社、日本クラウドコンピューティング株式会社代表取締役社長、中小企業経営イノベーション協議会会長を務める清水圭一のブログです。中小企業経営者向けに講演、コンサルティング、ITシステム開発を行っております。現在、『月刊総務』にてICTコラムを連載中。
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なぜ、御社に提示されるICT関連の見積金額は高いのか?
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    「なぜ、御社に提示されるICT関連の見積金額は高いのか?」

     

    日本クラウドコンピューティング株式会社

    代表執行役 ITコンサルタント 

    清水 圭一

     

     

     当社がコンサルティング先企業の経営者からよく聞かれる質問の一つに、「ICT関連費用を下げる方法を教えて欲しい」ということがあります。

     

    これだけ、一般消費者向けのパソコン、ネットワーク機器、クラウドサービスなどが値下がりして入るにも関わらず、いざ取引のあるICTベンダーに見積を取ってみると、そんなに安くはなっていません。

     

    同規模の同業他社などで低コストで最新のICTシステムを導入した金額を聞いて、自社でも見積を取ってみても、そこよりもはるか高い見積を提示されて、導入を断念したという話も聞きます。

     

     

     この原因は、見積を提示するICTベンダー側にあるのではなく、見積を取るユーザー企業側に問題があるケースが多い場合がほとんどです。

     

    今回は、なぜ、ICTベンダーは高い見積を提示するのか、よくある事例を元に解説したいと思います。

     

     

    後から過度な要求をするブラックユーザーになっていませんか?

     

     ICTシステムというのは、導入をする時よりも、導入後の保守サポート、運用に非常にコストがかかる投資です。

     

    また、ユーザー企業側の担当者がある程度、ICTの知識やスキルがないと、的確な見積要求をベンダー側に出すことが出来ません。

     

    多くの企業の場合、一度、予算が通った後は、追加予算取得が難しいため、後から必要な作業や物が出てきても、ユーザー企業側の担当者が、ICTベンダーに当たり前のようにそれを無償提供させるブラックユーザーになっているケースが日常茶飯事です。

     

     

     ICTベンダー側も、過去の取引や他のICTベンダーからの情報で、ブラックユーザー企業に対しては、そういった要求を上乗せした金額、リスクのない金額を積んで提示することは、当たり前の様に行われています。

     

    誰もが知っているような大手企業の中にも有名なブラックユーザー企業としてICTベンダー会社で認知されている会社も多くあり、あまりに酷いブラックユーザーに対しては、数十億円を超える大型商談であっても、見積提示も辞退する場合があります。

     

     

     ユーザー企業からすれば、多額の取引してやっているんだから無理無茶な要求を飲むのは当たり前だという感覚かもしれません。

     

    しかし、一昔前と比べて、ICTベンダーも1件あたりの受注金額、利益率は低下してしています。

     

    ユーザー企業側の担当者に自社のICT要件で必要なものと不要なものをしっかり見極める力がないと、適切な見積を提示されることはなく、いつまでも高い金額でICTシステムを買い続けることになります。

     

     

    古いハードウェア、OSを使い続けていませんか?

     

     古いハードウェア、OSを使い続けている場合などは、それのサポート費用だけでなく、その上で稼働するソフトウェアの開発費用やシステムエンジニアの運用費用なども高額になってしまいます。

     

     

     特に代表的なのは、メインフレームやオフコンと言われる旧型のコンピューターを使っている場合、それに精通したシステムエンジニアやソフトウェア開発者などの技術者の多くが引退してしまっているため、絶対的な人数が少なくなってしまっており、市場の原理からも、一般的なPCサーバーなどの技術者よりも高い費用がかかってしまいます。

     

     

     旧型のコンピューターを使い続ける理由として、それを全て最新のICTに入れ替えるだけの投資余力がないことや、そのために業務を停止することが出来ないなどが挙げられます。

     

    しかし、時間が経ち過ぎると、旧型のコンピューターの技術者が全くいなくなり、最新のICTに移行することすら出来なくなくリスクもありますので、一日でも早く検討を開始することをお勧めします。

     

     

    ICT部門担当者が、ずっと同じ部門にいませんか?

     

     社内のICT担当者は、企業によっては専門職の要素が強く、入社から定年退職まで、情報システム部などのICT部門だけで会社員人生を終える場合も珍しくはありません。

     

     

     特定の部門だけに在籍することにより、ICT部門担当者が、ICTが自社の営業、生産、経理などの自社の実業務でどの様に使われているのか、本当の末端の自社のエンドユーザーを知らないで、最新のICTテクノロジーだけを追い求める技術オタクになって入るケースが多くあります。

     

    それが、自社の業務を知らずに、技術的な優位性に偏って自社で導入するICTを決定してしまい、結果、高額なコストが掛かることに繋がっている場合が多いのです。

     

     

     もちろん、ICTのテクノロジーに精通していることが、自社にとって有益なICTシステムを作るのには必要なスキルでです。

     

    しかし、ここに偏ってICTの決定をしてしまうのは、コスト高への第一歩です。

     

    特にICTは最新の技術が盛り込まれている製品は、競合会社もなく、メーカー側も開発費を回収するためにプレミアム価格を設定しています。

     

    しかし、その様な最新の技術が盛り込まれたICTシステムが今すぐに必要なのは、業界のトップ企業か、史上最速で成長している企業ぐらいということがほとんどです。

     

     

     自社業務にとって本当に必要なICTを見極めるためには、実際のエンドユーザーとして、自社のICTを使う業務を、ICT部門の担当者が経験出来る人事制度を取り入れる必要があります。

     

     

     この様にICTコストの高い原因は、実はユーザー企業側に問題があるケースがほとんどです。

     

    ICTについて知らなすぎても、知りすぎても、古いICTを使い続けても、最新のICTにばかり目が行ってもいけません。

     

    これを機会に自社にとってのベストのICTを考える、バランス感覚を持つICT担当者を育てる制度を検討してみてはいかがでしょうか?

    JUGEMテーマ:ビジネス

    Posted by : 日本クラウドコンピューティング(株) 清水 圭一 | クラウドコンピューティング全般 | 07:00 | - | - | - | - |
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