「オフィスプリンターの検討方法とペーパーレス化の推進」
日本クラウドコンピューティング株式会社
代表執行役 ITコンサルタント
清水 圭一
オフィスのペーパーレスが進み、会議などの配布資料などもデジタル化したりと、一昔前に比べるとオフィス文書の印刷枚数はかなり減ってきています。
しかしながら、オフィスから紙を全てなくす事は実質的に不可能であり、特に営業部門等では、お客様に提出する見積書や契約書、商品やサービスの説明をする際の提案書など、どうしても紙が必要になってしまいます。
そういった最近のペーパーレス化の推進状況から、オフィスで使われるプリンターや複合機(以下、プリンター)も、一昔前のレーザープリンターの択一から、オフィスのプリンターの用途や出力枚数によっては、インクジェットプリンターも選択肢の1つとなってきました。
今回は、まずオフィスで使われるプリンターは、レーザー方式が良いのか、インクジェット方式が良いのか、皆様の会社のプリンターの利用状況を踏まえ、何を基準に選択判断をすれば良いかを説明をしていきます。
レーザー方式の最大のメリットはスピード
今でも、多くのオフィスで普及しているプリンターの印刷方式はレーザー方式です。
この方式の最大のメリットは、印刷スピードが速い点です。
機種にもよりますが、インクジェット方式のプリンターと比較して2倍以上、モノクロ文章の場合は、10倍以上のの速さで印刷します。
レーザープリンターのもう一つのメリットは、直接的に発生するランニングコストの安さです。
特に大量印刷をすることが前提のレーザープリンターは、1枚あたりのコストもインクジェット方式のプリンターと比較した場合、機種にもよりますが半額以下になることも少なくありません。
このようにレーザープリンターの印刷スピードとコストにおいては、いまだにレーザープリンターが圧倒的な優位になっています。
レーザー方式プリンターのデメリットは電力コスト
レーザー方式の最大のデメリットは、熱を利用して印刷をする方式のため、電気代がかかるという点です。
レーザー方式とインクジェット方式では、メーカーや機種にもよりますが、表1の通りおおよそ10倍近い差があります。
一方、インクジェットプリンターの最大のメリットは、レーザープリンターと比較して消費電力が圧倒的に低い点です。
小規模オフィスや、ペーパーレス化が進んでいて、印刷需要があまりなくプリンターはほとんど使わないが、なければ困るので置いておきたいという企業にとっては、直接的なコストだけでなく、間接的なコストまで考えると、インクジェット方式のプリンターが良い場合も多くあります。
表1 |
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レーザー方式 |
インクジェット方式 |
最大電力 |
1100-1300W |
80-100W |
稼働時電力 |
500-600W |
60-70W |
待機時電力 |
100-150W |
9-10W |
スリープ時電力 |
1.5-4W |
4-5W |
写真や高精度のイラストを印刷ならインクジェット方式
プリントアウトするものが、写真やイラストを多用するよう資料を多く使う業種や業態の企業では、そのような印刷が得意なインクジェット方式のプリンターをお勧めします。
レーザープリンターは4色で写真や文書を表現しますので、その表現色に限界があります。
しかしながら、インクジェットプリンターなら何十色ものカラーを使って印刷を細かい粒子のインクを吹き付けることで繊細に表現できますので、色彩豊かな写真やイラストを印刷する場合は、レーザープリンターよりも高い再現度で出力できます。
ペーパーレス化が進まないのはプリンターがオフィスにあるから?
プリンターが使えるところにあるからペーパーレス化が進まないという考え方のもと、プリンターをオフィスから一掃した企業も現れるようになりました。
どうしても紙が必要な場合のみ、富士ゼロックスが全国のセブンイレブンで展開するネットプリントのサービスや、キンコーズなどのコピーサービスをしているところに依頼をするという方法です。
こういった極端な方法を取らないと、なかなか私たちが数十年間に習慣化されてしまった紙で印刷するという文化は拭い去れないのかもしれません。
表2 |
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項目 |
インクジェット方式 |
レーザー方式 |
印刷コスト |
1枚あたり約6円 |
1枚あたり約3円 |
印刷特性 |
写真、イラストなど高精度なカラー印刷に強い |
文章印刷モノクロ印刷に強い |
インク特性 |
耐水性が低く滲む可能性あり。両面印刷は用紙品質次第で裏写りする |
耐水性が高く滲まない。両面印刷も用紙を選ばない |
印刷の速さ |
低速から中速 |
非常に高速 |
初期導入コスト |
安価 |
高価 |
交換部品の価格 |
安価 |
高価 |
消費電力 |
少ない |
非常に大きい |
トータルコスト |
枚数が少ないほど割安 |
枚数が多いほど割安 |
ただし、外部でプリントアウトする場合は、情報漏洩対策や個人情報保護法の遵守の観点から、社外秘の資料や、個人情報が含まれた資料などは印刷しないルールや社内規定が必要です。
このようにオフィス文書の印刷1つとっても、レザー方式か、インクジェット方式か、外部サービスを活用するかなど、選択肢が多く出てきました。
企業の紙の資料印刷にの需要や、その印刷された情報を守る必要性なども変わってきて、新たなサービスの選択肢も増えています。
JUGEMテーマ:ビジネス
表2にてインクジェット方式とレーザー方式の比較をまとめました。自社にとって最適な方法を今一度検討してみてはいかがでしょうか?